CATEGORY:■編集長のズバッと提案

2010年03月21日

介護保険の分割と一部民営化の提案

介護保険の分割と一部民営化の提案


厚生労働省が介護保険制度についての意見を募集している。

私は、介護保険施行(2000年4月1日←まもなく10年)時にパブリックコメントを
出したり
、SOHOしずおかビジネスプランコンテスト(審査員特別賞)にて
発表(→プレゼン映像あり)したり、このブログでも意見を出してきた。

今回も以下のような意見を出す予定である。

介護保険法の施行(2000年4月1日)から、もうすぐ10年になる。
NPO法の施行(1998年12月1日)と合わせ、様々な介護サービスが誕生した。

一方、要介護者数はどんどん増え、介護保険法1条にある目的
「国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ること」は、まだまだ遠く思える。
しかも、介護報酬の低さから介護職離れが進み、今後、介護保険料も上がる見込みで
国の予算も膨らんで、負の悪循環に陥っている。

これらを逆回転させ、地域の介護力と本人の健康度を高める持続可能な仕組みに
再構築することが必要である。

具体的には、

「車の自賠責保険と任意保険のような制度に
介護保険制度を分割再構築する」


のがいいと考える。

具体的には以下のとおり。

これまで、一律の保険料や介護報酬の設定を行い、さらに要介護度をできるだけ同一になるような判定を重視してきた。その結果、一律にお金を払っている以上、サービスはもらえなきゃ損という意識が働き、普段動ける人まで判定時には動かなくなる。施設側も動かない方が介護が楽なのでと考える。さらに判定の公平さを高めるための費用もかさむ。これらの要因が加わって、要介護度が上がったとも考えられる。さらに、その影響で、保険料が上がって介護報酬が下がるという悪循環を招いている。介護問題の目指すものは、地域の介護力を高め、健康度を上げることではなかったのか。むしろ、介護力と健康度を下げているように思えてしまう。

そこで提案するのは、公平な最低限度の保険とは別に、高いサービス水準を希望する方からは多く、最小のサービスでいいという方には最低限の保険料を納める介護保険の民営化が必要と考える。車でいう、自賠責保険と任意保険のようなイメージで、現行の介護保険を最低限にし、高いサービスを求める人は民間介護保険(生命保険会社を想定)に加入する仕組みである。生命保険会社が現在販売している介護保険は現金給付のみであるが、この保険は加入者が要介護であると認定されると、現金給付の他に、小規模多機能ホーム等との提携によるホームヘルパーの派遣等の現物支給が選択できる。具体的には、要介護と認定され、現物支給を選択すると、生命保険会社が要介護度に応じた介護カードを発行する。例えば、週3回ホームヘルプサービスが認定されたとすると、3枚の介護カードを受け取り、介護と交換にカードを渡す。介護は提携している小規模多機能ホーム等の中から、要介護者や家族が自由に選択できる。そして、カードを受け取った小規模多機能ホーム等は生命保険会社から報酬を受け取るというものである。

介護カードがこの保険の肝である。小規模多機能ホーム側は、家族等を対象に、簡易ホームヘルプ養成講座を開催し、一定の基準に達すると、自分の将来や家族のために使える介護カード(時間貯蓄制度)を発行する。これらのことによって、簡単なケースは家族が介護すれば家族にお金がもどってくる仕組みができあがる。もちろん本人が頑張れば自分にお金がもどってくる。そうすれば自立意欲や家庭介護意欲を増加させることが期待できるし、簡単な介護であれば簡単に収入源になることから、ホームヘルパー等の介護の資格者が増えていくと考える。

さらに、ここからが妙案であるが、民営化した介護保険には「釣れば釣る程安くなる」ハトヤ(古いですが)の3段逆スライド方式のような給付方式を取り入れたい。例えば、この民間介護保険に加入して、要介護と判定されると介護を受ける権利がもらえるが、例えば軽度の場合で自己リハビリで回復すればお金がもどってくる、軽度の介護サービスの講習会を受けた家族が介護すれば家族にお金がもどるという方式である。そうすれば、がんばって介護度を下げたくなるし、軽度の介護サービスを習いたいと考える者が増える。さらにその中からヘルパー等を目指すものが出てきて、介護を職とするなど、地域の介護力がどんどんアップする「渦巻く仕掛け」ができると考えるのである。


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Posted by ろくさん  at 06:05 │Comments(2)■編集長のズバッと提案

COMMENT
民間に加入する側の立場からいえばむずかしいとこね
保険会社の観点からだと、等級ごとの事故率が算定できないとか、将来の現金給付に置き換えるサービスのコストが見積もれないこと、また将来サービス企業が存続している確証がないのが不安なとこかもね

その点では強制部分と任意部分を分けるのはまずは基本にすべきというのには賛成
Posted by てらけん at 2011年05月10日 07:49
さすが、てらけん。
リスク計算、コスト見積、存続の確証あたりがネックかー。
たしかにそうだね。
時間と規模が生命線なので、小規模で実験して実用化する方法がとりにくいというのも厳しいところ。
最初から大がかりでやるには、てらけんみたいな意見を集めて、さらなるイノベーションが必要だね。
Posted by ろくさん at 2011年05月10日 19:29
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    コメント(2)